出会い

出勤前に来客のため、外出しなければならない時間があった。限られた時間内でどこに行くことが自分にとって有益なのだろうと、いつものようにOリングチェックを行った。その結果、『安田城跡』という反応。

今回で2度目であるが、前回はいついっただろう。久しぶりに訪れてみると、前回は夜だったため全く気付かなかった資料館がある。初めての施設に興味がわき、何となく寄ってみることに。入り口で訪問者と思われるご年配の男性とすれ違ったものの、館内に訪問者はもう誰もいない様子。

無人の受付で受付帳に記帳していたところ、奥の事務所でひとり文献に目を通していた館長がひとり。声をかけると、初めての訪問と見たのか私に声を掛けて下さった。

いくつか簡単なやり取りがあった後、館長が「この資料をあげよう」と事務所から出て来られた。手には一般向けには出されていない、館長自ら作製したという資料である。「来訪者に自分が話さずともわかるように。」との思いで、作製されたそうだ。

予想外の行動にとても驚いたが、ありがたく頂戴した。そして簡単な自己紹介を頂き、安田城周辺にまつわる歴史を伺った。
それが私にとって、驚愕のお話ばかりだったのである。120分以上も個人的にお教え頂くという、貴重な機会を得ようとは思いもよらなかった。

まず上杉景勝が、安田城宛に送ったという書状のコピーを見せて頂いた。日付と景勝の花押が、確かに記してある。確かな確証を持って来訪者に説明するというポリシーのため、館長が人知れず足で稼いだ賜物だ。

驚きが冷めやらぬうちに、館長は奥から「他のも見せよう」と缶の箱を持ってこられた。箱を開けると、そこには貴重な古文書が。中には印刷ではなく、本物もある!普通に博物館で、ガラスケースに入って展示してあるような古文書。初対面の私にここまで見せて下さってよいのだろうかと思ったが、「越中の歴史に少しでも興味を持ってくれれば」と泣かせるお言葉。

その後も私が知らない越中の歴史について、熱い口調でご教示頂いた。越中人であるならば、必ず一度は聞いておきたい話ばかり。館長の博学ぶりには、驚かされっぱなしだった。「越中人たるもの、安田城跡資料館の館長へ今すぐ会いに行くべし!」と言いたい。

館長との出会いに感謝。館長、本当にありがとう!また行きます。